「40th INTERNATIONAL Pokka GT SUMMER SPECIAL」として開催された第5戦鈴鹿は、今期最長となる500Km。 後半戦の、そしてチャンピオン争いを占う重要な1戦である。 GSR & Studie with TeamUKYOは78kgのハンディウェイトを積んで今戦に挑む。
8月21日(日)決勝レース(87Laps)15:10スタート
決勝日の朝、サーキット一帯は強い雨。10時からのフリー走行もウェット状態。 スタート進行が始まる頃も雨が降り続いているがだいぶ弱まっている。気温26℃、路面温度28℃。 4号車『初音ミク グッドスマイルBMW』最初のスティントは、谷口信輝選手。今回のレースは最低2回のピットインが義務付けられている。 整然とグリッド上にならぶ全マシンにエンジンが点火されローリングが開始された。コース上はウェット。どのマシンもレインタイヤを装着している。最終コーナーに差し掛かり先導するセーフティーカーが隊列から離れいよいよスタートが切られた。雨の中のオープニングラップは大きな混乱もなく2ラップ目に差し掛かる。 そんな中、谷口選手は1台をパスし5番手に。その後、8ラップまで2’25秒~26秒台で5位をキープするものの、レインタイヤのグリップが思わしくない様子。2’29秒~30秒台にペースが落ち始め16ラップ目には順位も10番手に後退してしまう。すかさず17ラップ目に最初のピットイン。番場琢選手とドライバーチェンジを行い、雨足も弱まってきたところでインターミディエイト(浅溝タイヤ)に履き替えてピットアウト。 その時点で暫定21番手まで順位を落とすものの、果敢な走りで25ラップ目には15番手まで浮上する。
さらに13番手まで順位を上げる中、37ラップでGT500クラスのマシンがクラッシュしセーフティーカーが導入された。その結果、上位車両と1ラップの差がついてしまう。41ラップ目に12番手の位置でリスタートし、上位との差を縮めるべく果敢に周回を重ねていく。 46ラップ目には2’23.792で4号車のベストラップを記録と同時に11番手に浮上。さらに52ラップ目には、2’20.857でまたもベストラップを記録と共に10番手のポイント圏内まで順位を上げて来た。 番場選手は、35ラップを終えピットイン。 いよいよゴールまでの最後のスティントを谷口選手に託す。レースも終盤に差し掛かり、雨も上がっている。コース上のラインもドライになりだした。再び雨が降り出す可能性も秘めているが、チームはスリックタイヤを選択し終盤に挑んだ。コースに復帰し、この時点で暫定15番手を走行。ここから怒涛の追走劇が始まることとなる。 スリックタイヤのチョイスが的中。アウトラップ後の55ラップ目にいきなり2’17.056のファステストラップ(クラス最速タイム)を叩き出す。続いて56ラップで3秒以上縮める2’13.825でファステストラップを更新。同時に14番手に浮上。さらに59、60ラップともに2’12秒台でファステストラップを立て続けに更新し、この時点で9番手まで順位を上げる。このまま順調に追走を繰り広げるかというところで、4号車に思わぬ裁定が下ってしまった。 先のピットインでの給油作業中のピット作業違反ということでドライブスルーペナルティを受けることとなってしまう。裁定後、62ラップでペナルティを消化しコースに復帰。その影響でタイムロスを余儀なくされるが順位はポイント圏内の8番手。サーキットには再び雨が落ち始め路面も濡れだしてきた。 しかし谷口選手は67ラップには2’09.899の驚異的な速さでファステストラップ再度更新し、7番手に付ける。さらに69ラップまでに2台をパスし5番手にまで浮上した。 前を行くのはポイントでも追っているランキングトップの11号車。残り周回数は10ラップを切っている。なんとか11号車の前でチェッカーを受けたいところだが、前車とのギャップは約25秒。コース上も次第にウェット状態になってくる中、ドライタイヤでどこまでギャップを縮められるかだ。 ラップを重ねるごとにギャップが縮まってゆく。74ラップで15秒まで迫まってきた。まさに絶妙のマシンコントロールで77ラップの段階で6秒まで迫る勢いだ。そして迎えた最終ラップ。もう11号車は前に見えている。どんどん差が縮まる。シケインから最終コーナーではテールtoノーズで立ち上がり、ほぼ同時に近い状態でチェッカーを受けるも0.873秒の僅かの差で及ばず5位でフィニッシュとなった。6ポイント獲得でラインキングは依然2位。後半戦へと入っていくシリーズ戦、悲願のシリーズチャンピオンへ向けチーム一丸となって戦っていく。
■大橋逸夫監督 今回のレースは最後の追い上げがあっただけに結果的に非常に悔しいレースでした。 セーフティカーのタイミングの悪さやピット作業のミスなど、そもそもの原因の元になるのが今回のタイヤのマッチング。 新規チーム、FIAGT3車両という条件があるとはいえ、特に雨のコンディションによるタイヤ選択の幅の狭さは痒いところに手が届かないもどかしさを感じます。メーカーさんも更なる努力を約束してくれているので、心配はしてません。人為的なミスも原因が明確なので2度と起こりません。 ノーポイントの可能性もあった今回のレースですが、”絶対シリーズチャンピオンを取ってやる”という気持ちが最終的な結果に結びついたのだと思います。後半戦後3戦”シリーズチャンピオン”に向けてがんばります。
■片山右京スポーティングデレクター 今回も菅生に引き続き、かなり難しい天候の中のレースになってしまいました。レースの内容は皆さんご覧の通りで、前半の雨の中の走行が悪く、ドライ状態の後半が我々最大限発揮できる力だと思います。 今回チーム全員が一つになって最後の最後まで諦めず11号車を捕まえに行った姿勢が良かったです。 結果的に11号車と12ポイント開いてしまい、33号車に2ポイント差まで追い上げられてしまっています。悔いは残りますが、これがレースだと思っています。内容的には次に繋がるだと確信しています。 最後の最後まで諦めず全力で行きますので、応援宜しくお願いします。
■谷口信輝選手 今回のGTも天気に翻弄されるレースとなりました。 決勝の1スティント目に、深溝タイヤを選んだ我々は、路面の水が減った数周目からペースが落ちて行き、順位も落としてしまいました。早めのピットインに切り替えて浅溝タイヤで番場選手が行ってみたがペースは上がらず。そして運の悪いことにセーフティーカーが入り、上位のチームと1周の差がついてしまった。 再スタート後、番場選手のペースが急に上がり、順位も回復気味のところで僕に交代。まだ路面も濡れていましたし、天気もいつ雨が降るかわからない状態でした。がしかし、11号車のいる位置を見ると賭けに出るしかないと思い、スリックタイヤを選択。 勝負に出ました。そこからかなり追い上げ、順位を上げ、気が付くと5位まで上がっていました。正直、運のない流れでしたがチームが一丸となって悪い流れに打ち勝った5位だと思います。
■番場琢選手 今回の鈴鹿戦もたくさんの方からの応援、ありがとうございました。今回の鈴鹿戦は非常に難しいレースでした。路面コンディションは読めないし、タフなレースだったし、すごく集中力が必要でした。 5位という結果は、すごく悔しいですが、途中の順位を考えると被害を最小限に食い止められたと思います。最後のスティントの谷口選手の走りは素晴らしかったし、あの状況でドライを選択した谷口選手は流石です。 僕自身は、途中非常に苦しい状況がありましたが、今回のレースに掲げていた課題はしっかりとクリア出来たと思います。全てのコーナーで、最初から最後まで集中し続けられたし、ミスもなく走れました。500の処理も問題なかったです。